まずはこの3本



愛知の味噌は、米や麦を使わず大豆だけで仕込む豆味噌です。色は黒に近く、甘みは控えめで、酸味と渋みを含んだ濃い旨みが特徴になります。岡崎城から八丁ほど離れた土地で作られたことから、八丁味噌の名がつきました。
温暖で湿度の高い濃尾平野は、醸造に向いた土地でもあります。碧南では米と米麹から仕込む三河みりんが、蒲郡では焙煎せずに搾る太白胡麻油が作られています。濃い味噌と、澄んだみりんや油。対照的な調味料が同じ県に並んでいます。
- 大豆だけで仕込む豆味噌と八丁味噌の由来
- 碧南のみりん、蒲郡の胡麻油という醸造・搾油の技
愛知の味は「豆」でできている
愛知の調味料を貫いているのは大豆です。全国の味噌の多くが米麹を使うのに対し、愛知でつくられるのは大豆と塩だけを原料とする豆味噌でした。二年以上寝かせるため色は濃く、甘みは少なく、大豆のうま味が凝縮した重い味になります。
この製法が生まれた理由は気候にあります。東海地方は夏の高温多湿で味噌が酸っぱくなりやすく、保存性の高い豆味噌が選ばれました。そして豆味噌を仕込む桶の底に溜まった液を汲み出したものが、たまり醤油です。愛知の味噌と醤油は、別々の産物ではなく同じ製法から枝分かれしたものだといえます。
八丁味噌と三河みりん
八丁味噌の名は、岡崎城から八丁(約870メートル)離れた八丁村(現在の八帖町)に由来します。この土地が味噌づくりに適していたのは、米が穫れにくく大豆の栽培に向いていたこと、吉良に塩田があったこと、矢作川の舟運と旧東海道が交わる要所だったことが重なったためでした。徳川家の保護を受けたことも大きかったとされます。
碧南では、みりんが江戸期から造られてきました。もち米・米麹・焼酎だけで仕込む本みりんは、砂糖とは違う穏やかな甘みと、料理に照りを与える力を持ちます。愛知は味噌・たまり・みりんが揃う、醸造の密度が高い県です。
郷土料理と調味料
- 煮味噌
- 豆味噌の煮汁で、大根や里芋、こんにゃくなどを煮込む家庭料理です。長く煮ても風味が飛びにくい豆味噌の性質を活かした食べ方で、味噌煮込みうどんも同じ考え方の延長にあります。
- 味噌カツ・味噌おでん
- 豆味噌にみりんや砂糖を加えて甘辛いたれに仕立て、揚げ物やおでんにかけます。濃い味噌をそのままでなく、甘みで整えて使うのが愛知流です。
愛知県の蔵元・醸造元
- カクキュー八丁味噌正保2年創業
岡崎の八丁町で八丁味噌を造り続ける蔵です。木桶に石を積み上げて重しとする伝統的な仕込みを今も守っています。 - 角谷文治郎商店明治43年創業
碧南でみりんを専門に造る蔵です。もち米の甘さを引き出す製法にこだわり、三州三河みりんを手がけています。 - 竹本油脂(マルホン)
蒲郡の胡麻油メーカーです。焙煎せずに搾る太白胡麻油など、用途で使い分ける胡麻油を揃えています。
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